中銀カプセルタワービルの3次元デジタルアーカイブについて
2022年に解体される『中銀カプセルタワービル』の3次元デジタルアーカイブプロジェクトでドローン測量を担当しました。
中銀カプセルタワービルについて
東京・銀座にある『中銀カプセルタワービル』は建築家の黒川紀章氏の設計で1972年に完成し、世界的にも知られている建物です。しかし、竣工から50年が経ち、老朽化が進んでいることから2022年4月から解体工事が始まっています。
3次元デジタルアーカイブプロジェクトについて
今回、gluonが中心となってさまざまな手法で『中銀カプセルタワービル』を3次元でデジタルアーカイブするプロジェクトが始動しました。
このプロジェクトでは、地上レーザースキャナやデジタル一眼レフカメラやドローンによる写真測量(フォトグラメトリ)を組み合わせることで高精度に実空間の情報を記録することを目的としています。
また、戦後に建てられた建物などが、老朽化などから維持できなくなることが予想されます。そういった際にどのような手法やクラウドファンディングで資金を調達し、目的金額達成後には、3次元点群データをオープンソースとして公開する予定です。
3D Digital Archive Project / 建築『中銀カプセルタワービル』を3次元スキャンで記録に残したい。
ドローンによる写真測量について
中銀カプセルタワービルは東京都中央区銀座8丁目にありました。ここは人口集中地区(DID地区)に指定されており、近くには新聞社のヘリポートもあるなどドローンを飛ばすためには、国土交通省に申請して許可を得る必要がありました。
もちろん許可を取り、操縦者とは別に監視員を配置するなどして安全に配慮して撮影を行いました。
撮影は2日間、ドローンはDJI Mavic3を使っておこないました。Mavic3は全方向障害物検知機能をもっており、大変安定した飛行が可能なドローンです。
ドローンを操縦しながら写真を撮影するのは神経を使うため、一定間隔ごとにシャッターを自動で切るインターバル撮影を使うのですが、Mavic3が電子シャッターとうこもあり、動きながら撮影すると画像が若干歪んでしまうことも考えられたため、一枚ずつホバリングさせて撮影しました。
普通に飛ばすと40分以上飛行可能なMavic3ですが、ビル風が吹く中でのホバリング撮影ということもあり1つのバッテリーでの飛行は約20分でした。
上の画像は写真ではなく、画像を解析することで出来た3次元モデルです。
白い点はドローンで画像を撮影した位置で、1586枚の画像を撮影しました。
プロジェクト全体での計測は?
このプロジェクトでは、ドローンだけでなく一眼レフカメラでも写真を撮影しており、撮影された画像はなんと総数は20,000枚以上です。その他に、ミリ単位で計測可能なレーザースキャナでも計測しています。
超高精度なレーザースキャナと一眼レフカメラの画像を組み合わせた3次元モデルが生成される予定です。
ちなみに上のツイートは周囲の建物の屋上などからレーザースキャナで計測した点群です。
クラウドファンディングが成立すると、このモデルはオープンソースとして公開されることになっています。
また、支援のリターンに「超高密度な点群データ」というのも設定されています。
どんなデータになるのか本当に楽しみです。